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マクローリン展開とは
マクローリン展開とは、関数を$x^n$の和の形で表現することです。よくわからない関数が出てきたときでも、マクローリン展開を応用することで原点付近の情報(切片や傾きなど)を知ることができます。
また、そのほかにも項別積分で級数に帰着させたり、逆に級数を展開元の関数に戻して値を求めたりすることもできます。
マクローリン展開は$x^n$の和による展開ですので、$(x+1)^2=x^2+2x+1$などのような展開はマクローリン展開の一種です。
マクローリン展開を一般化させた概念として、テイラー展開というものがあります。マクローリン展開が$0$を中心とした展開だったのに対し、テイラー展開は点$x=\alpha$を中心とした展開です。
すなわち、テイラー展開は関数を$(x-\alpha)^n$の和の形で表現することです。テイラー展開を用いると、その関数の点$\alpha$付近の詳細なふるまいを知ることができます。
例えば、二次関数$f(x)=ax^2+bx+c$の頂点付近の状態が知りたいときは、平方完成で$f(x)=a(x-p)^2+q$の形に変形しますよね。これは$x=p$でのテイラー展開をしているということです。
各公式
よく出てくる初等関数のマクローリン展開です。
極限への応用
そもそもなぜ極限を求めるのが大変かというと、$\sin$や$e^x$、$\log$などのよくわからない関数が入っているからです。
しかし、テイラー展開、マクローリン展開を使うとそれらはすべて多項式の形になります。
多項式にさえなってしまえば、あとは最高次の係数を見れば極限は求まります。
例
極限\[\lim_{x \to 0} \frac{3\tan x - 3x -x^3}{x^5}\]を求めよ。
解1
$x \to 0$で$\tan x \approx x + \dfrac{1}{3}x^3 + \dfrac{2}{15}x^5$より
ロピタルの定理との比較
じつは上の問題はロピタルの定理を紹介したときにも例題として出していました。
ロピタルの定理は、微分の公式さえ覚えておけば幅広い極限を簡単に求められるというメリットがあります。
一方で、今回のような問題は、マクローリン展開を覚えていれば瞬殺することもできます。
$\tan$のマクローリン展開は難しいですが、最低限$\sin$と$\log(1+x)$のマクローリン展開は覚えておくといざというときに便利です!